2018年度分「自立援助ホーム支援助成」助成選考結果のご報告

今年度も本助成事業に対するみなさまのご理解をいただき、24件のご応募をいただきました。ありがとうございました。助成審査委員会では応募団体の皆さまからの申請書とヒアリングをもとに慎重に審議をさせていただき、2018年度 Shinjoプロジェクト 自立援助ホーム支援助成の助成団体を以下のとおり決定させていただきました。

審査委員コメント

(関西大学 山縣文治先生)
 今年は例年に比べ、若干少なかったとはいえ、20を越える団体に応募していただきました。
 今年の応募あるいは決定の特徴あるいは傾向は、以下の3点にあったと感じています。
 第1は、初めて応募された団体が比較的多くあったということです。社会的養護の改革のなかで、自立支援が課題の一つとして取り上げられています。自立援助ホームの必要性も意識され、設置が進んでいることが影響しているのかも知れません。
 第2は、ここ数年の傾向ですが、設備の改善、備品の充実が多くなっています。新設間もないホームであっても同様です。ホームとしては新設であっても、古い建物を賃借等している場合、公的費用だけでは子どもたちが生活する場にふさわしい環境に整えていくのが困難であるということを示しています。とりわけ、NPO法人等の場合、法人の資産が少なく、このような傾向になるようです。
 第3は、数的には多くないとはいえ、失われた子どもたちの時間を埋める取り組みや今後の生活に歩み出すための基地作りを意図した取り組みがみられました。行くことのできなかった修学旅行、野外活動体験、エンパワメントプログラムなどです。真如苑の助成事業では、初期、このような内容の支援が中心でしたが、本来公的資金でまかなうべきではないかと考えられる第2の内容が不十分であるため、ソフト面の支援が残念ながら少なくなっているのが現状です。
 児童福祉法改正を契機に、社会的養護の大幅な改革が提案されています。これが実現すると、施設から社会に旅立つ子どもは減ることになります。そうすると、今まで以上に、児童養護施設での長期入所が可能になるとともに、自立援助にも熱心になるのではないかと考えられます。これは、現状の制度のままでは自立援助ホームの利用者が減ることを意味します。20歳以上の新規入所制度の必要性の有無、里親で育った子どもで、里親が対応しにくくなった子どもへの対応など、自立援助ホームが考えるべき課題は多いと思います。この助成事業は改革に直接つながるものではありませんが、改革の結果にはつながっています。助成事業を通じて、引き続き子どもたちの福祉に貢献できれば幸いです。

(東京家政大学 平戸ルリ子先生)
 2018年度も北は北海道から南は鹿児島まで、多くの自立援助ホームに応募いただきました。
 その中で感じたことを以下に述べます。
 1点は、生活の基盤整備に関する事業の応募が増えたことです。児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)が児童福祉法で法制化されてから一定期間が過ぎましたが、とにかく早期に立ち上げをということで、中古物件等を利用して生活の場を確保したり、中古の家電製品を安く譲り受けたりして事業を開始したところが、年月を経て、家屋の老朽化、機器の故障など、急を要する危機的事態に直面するようになってきています。措置費は、子どもたちの生活支援や職員の雇用に使われますが、このような生活基盤の安定のための費用は、支援に不可欠でありながら、出所がありません。今回、真如苑の助成で支えられたところは良かったですが、こういった資金の確保は、今後は国レベルで取り組んでいくことと強く感じました。
 2点目は、今年度も、本来義務教育の学校や生活支援施設などで体験すべき思い出づくり的な出来事が今まで体験出来ていず、そのような体験をさせてあげたいので、費用を本助成により確保したいという申請が多かったことです。本来、児童自立援助ホームは、児童養護施設など児童福祉施設を退所した児童の生活の相談支援のために法制化された事業ですが、今の自立援助ホームで生活している児童は、児童養護施設などの施設でのサポートすら受けてこなかった児童、不安定な家庭から直接自立援助ホームに繋がってきた子たちが増えているということを実感しました。それにしては、児童福祉の制度はあまりにもお粗末で、個人や支援している団体の独自の努力に任されている実状があります。このことが、申請の内容や情報交換会からも垣間見えました。現場の皆さんのご努力に頭が下がると同時に、今後の制度的な充実が、これも望まれることだと思いました。
 自立援助ホームは、多様な設置・運営母体が混在しており、なかなか団体として、統一した要求をしていくのは困難なのかもしれませんが、今回、初めて申請に参加していただいた団体が、他の自立援助ホームから本助成の情報を得ていたことも知りました。まずは、自立援助ホームの設置・運営団体が力を合わせて、子どもの生活の安定・支援に向けて取り組み始めて行く姿勢が大事だと思います。仕事に向かわない子どもの意識の改革やサポートをどのようにしていけば効果があるか、他のホームの取組を聞きたいと交換会で発言して下さった団体がありました。これは一つの例ですが、どこのホームでも抱えておられる悩みは同様なことがあるのではないでしょうか。本助成をめぐる一連のやりとりが、自立援助ホームそのものの事業(支援)の助けとなる助成であると同時に、将来にむけて、自立援助ホームを運営する団体が、よりパワーアップしていける手助けになっていくことを願ってやみません。
自立援助ホーム支援助成
助成団体総数 22団体
所在地 団体名 プロジェクト名 助成額
1

北海道

釧路市

一般社団法人 ココロミクラフティ
KCホームズ

あきらめをなくす!車両購入事業

500,000
2

北海道

札幌市

特定非営利活動法人 札幌市福祉生活支援センター
青少年自立援助ホーム たんぽぽ苑

自立援助ホーム入所者への対応と職員のメンタルヘルス対策に関する研修会

300,000
3

山形県

山形市

特定非営利活動法人 山形の社会的養護を考える会
みどりヶ丘

生活環境整備(屋根の塗装と窓の二重枠工事)事業

300,000
4 茨城県

つくば市

特定非営利活動法人 マナーズ
自立援助ホーム ハレルヤ・ファミリー

寒い冬にも暖かいトイレに

250,000
5

茨城県

ひたちなか市

特定非営利活動法人 ベェルシバ子ども自立支援センター
自立援助ホーム Tam tam寮

お風呂 改装事業

500,000
6

茨城県

稲敷郡

認定NPO法人 青少年の自立を支える会シオン
みらい

調理環境の整備修繕事業

200,000
7

埼玉県

さいたま市

特定非営利活動法人 生活支援クラブ
自立援助ホーム フレンズハイム

入居児童用ベッド及びマットレス 7台購入事業

300,000
8

埼玉県

日高市

特定非営利活動法人 夢舞台
夢舞台

自立援助ホーム移転に伴う新ホームの自動消火装置の設置事業

500,000
9

埼玉県

志木市

特定非営利活動法人 結
樹の下ホーム

祈願の沖縄旅行

500,000
10

東京都

清瀬市

社会福祉法人 子供の家
自立援助ホーム あすなろ荘

繋がりのための思い出作り事業

230,000
11

千葉県

松戸市

特定非営利活動法人 誠心会
児童自立援助ホーム こたにがわ学園

環境整備事業

170,000
12

千葉県

千葉市

社会福祉法人 天祐会
自立援助ホーム 未来の杜

ホーム内設備の環境改善事業

350,000
13

愛知県

名古屋市

社会福祉法人 昭徳会
自立援助ホーム かりん

新規開設ホームの自転車購入事業

200,000
14

愛知県

春日井市

特定非営利活動法人 なごやかサポートみらい
自立援助ホーム いっぽ

職員子ども会議で話し合った「MY修学旅行」と「お風呂の改善」プロジェクト

500,000
15

愛知県

名古屋市

特定非営利活動法人 子どもセンター「パオ」
ステップハウス「ぴあ・かもみーる」

災害時・非常時対策プロジェクト

230,000
16

三重県

桑名市

社会福祉法人 アパティア福祉会
自立援助ホーム つばさ

一生忘れられない旅!Let's Visit World! In Taiwan

500,000
17

滋賀県

守山市

認定NPO法人 四つ葉のクローバー
シェアハウス夢コート

安心・安全な居場所作り事業

400,000
18

京都府

京都市

公益財団法人 京都YWCA
自立援助ホーム カルーナ

こころとからだの自律準備プログラム〜達成から自信へ〜

500,000
19

大阪府

大阪市

特定非営利活動法人 こどもの里
こどもの里自立援助ホーム

若者の居場所づくり事業

400,000
20

兵庫県

芦屋市

特定非営利活動法人 ホザナ・ハウス
カリス・ホーム

空調設備事業

500,000
21

山口県

岩国市

特定非営利活動法人 とりで
ゆめじ

入居用の子どもたち、ケアワーカーの野外活動を通した交流と社会体験

400,000
22

鹿児島県

奄美市

NPO法人 奄美青少年支援センター「ゆずり葉の郷」
青空ホームあまみ

環境整備事業

300,000
児童福祉施設・自立援助ホーム支援助成審査委員会:
早瀬 昇(社会福祉法人 大阪ボランティア協会 常務理事)
平戸 ルリ子(東京家政大学 人文学部 教授)
山縣 文治(関西大学 人間健康学部 教授)
長塚 充男(宗教法人 真如苑 教務長)